著者 : 室橋裕和 出版社 : 明石書店
「コロナ・ショックは日本の移民社会をどう変えたのか」。2020年初頭から2021年末まで、著作が自らの足で歩き回り取材し、彼らの苦悩、絶望、悲惨さ、ポジティブでしたたかな姿を捉えた旅の記録。
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◇ 目 次 ◇
はじめに
Prologue
移民最前線タウン新大久保の2020年春
「ここは日本なんだから、大丈夫ですよ」
パニックが起こるのではないか
外国人たちが見せた意外なたくましさと、商魂
「10万円の給付、外国人も対象なの?」
外国人につきまとう「在留資格」の問題
10万円給付に「アベさんありがとう」
Chapter 1
名古屋 “九番団地" の住民たち
東海地方に多い外国人労働者
ネットカフェ難民となったフィリピン人技能実習生
コロナ防護服を折りたたむバイト
名古屋の中の異国、九番団地
2020年4月に襲った首切りの大波
東海地方に日系人の労働者が多い理由
高齢化とコロナ禍、ふたつの問題
コロナだから、あえて起業?
Chapter 2
学習支援と食料支援の実践者たち
アルゼンチン×ブラジル人夫妻が立ち上げた教室
一斉休校の影響で学校の授業についていけない
外国人の子供たちに目立つ「コロナ転校」
オンラインだからこそのメリットもたくさんある
食料支援を続ける日系ペルー人
支援しているほうも外国人の失業者
ペルーに渡った日本人の子孫が、今度は日本にやってくる
「外国人から先に切られる」
誕生日プレゼントは解雇通告
かれらを弱者と呼んでいいのだろうか
Chapter 3
コロナに感染した外国人たち
外国人の感染者は、日本人よりも多いのか
感染リスクの高い現場を外国人が支えている
一家10人丸ごと自宅隔離のペルー人
「仮放免」のロヒンギャ難民がコロナに感染
「仮放免」にはワクチンの通知も来なかった
コロナ患者の医療通訳に奔走するフィリピン人
コロナで進む「外国人労働者の高齢化問題」
Chapter 4
揺れる留学生たち
留学生たちが消えた新大久保の街
オンラインでの授業は果たして「留学」なのか
感染の怖さを抱えながら、コンビニで働く
日本人の友達ができない
生まれて初めてのひとり暮らしが、コロナ禍の東京
1年以上も「入国待ち」の留学生たち
日本人は海外留学できるのに、外国人留学生は日本に入れない
オリンピック選手は隔離なしで日本に入れる
深夜2時30分からのオンライン授業
国際的な信用問題につながりかねない
外国人は、日本にとって「例外の人」
「日本は、国民になにもかも任せて、国がなにもしない」
Chapter 5
翻弄される技能実習生たち
ベトナム人を犯罪に追いこんだもの
コロナ禍の入国制度も悪用して金儲け
ベトナム人尼僧のもと、逃亡実習生たちと年越しをする
本堂に並ぶベトナム語の位牌
血が出るほど殴られた
かれらの「たくましさ」は日本人にどう映るのか
大恩寺には監理団体のベトナム人もやってくる
実習生たち手づくりの晩ごはん
実習生たちと焚火を囲む大晦日
実習生たちと布団を並べて2020年が暮れていく
「チャンスがあったら、また日本に来たい」
名古屋にもあるベトナム人の駆け込み寺
助けるほうと、助けられるほうをつくっちゃいけない
ベトナム人僧侶は実習生たちのアニキ
「日本はもう、来たくないですね」
技能実習制度が失敗した理由
徳林寺の大きな家族
Chapter 6
なんでも対象外の難民たち
多くの外国人が助かったという「10万円給付」だが……
言葉や文化も奪われた人々
保険もない、就労もできない「仮放免」という立場
解体や工事現場で働くクルド人たち
コロナ禍で減少する仕事、増える労働事故
病院に行きたくても行けない
東京オリンピックの「難民チーム」の陰で
Chapter 7
“職域接種" するフィリピンパブ嬢たち
栄4丁目、通称「女子大小路」
街全体がクラスター化してしまった
1000人のフィリピンパブ嬢がワクチンを職域接種
お金がなくなると「ウータン」でしのぐ
東海地方の工場労働者を支えてきた存在
ワクチン接種でみんな明るくなった
Epilogue
「コロナはチャンス」したたかな商売人たち
新大久保の外国人人口は1000人減だけど
コロナ禍なのに出店ラッシュ
コロナで空いた物件をいまのうちに押さえたい
アジアの「市場」と化した新大久保
この街はコロナに負けなかった